【フランス聖地巡礼の旅➁ ジャンヌダルク終焉の地、ルーアンに行ってきました】

こんにちは。

スピリチュアルカウンセラーのエマです。

 

モンサンミシェルを後にして、バスで一路ルーアンに向かいました。

モンサンミシェルからルーアンまでは250kmあります。

ルーアンに何があるかと言いますと、ジャンヌダルク教会があります。そして、あの蓮の絵で有名な画家クロード・モネが描いた『ルーアン大聖堂』もあります。

 

(モネ作。ルーアン大聖堂。美術の教科書で見たことがある人も多いのではないでしょうか。)

以前映画で観たジャンヌダルクのことがずっと気になっていて、その地を訪れてみたいと思っていました。

 

私が観た映画は『レオン』のリュック・ベッソン監督が、フランスの国民的英雄として知られる女性ジャンヌダルクの生涯をミラ・ジョボビッチ主演で映画化したものです。(『ジャンヌダルク』1999年。ソニー・ピクチャーズエンタテイメント。)

 

ジャンヌダルクはただの田舎に生まれた農家の娘でしたが、ある時、神の啓示を受けます。彼女はたった一人で皇太子のところに赴き、神の啓示を受けたことを告げ、軍を率いて勝利に導きます。1429年、今から600年ほど前になります。

 

結局、ジャンヌダルクはまだ19歳という若さで火あぶりの刑に処せられます。フランス軍のため、国のために戦ったジャンヌダルクでしたが、当時は今と違って「女性」への差別や宗教的背景、政治的な背景もあり、異端者(キリスト教信者ではない)としての裁きを受けることになってしまったのでした。

 

ジャンヌダルクの死後、裁判はもう一度行われます。あまりにも理不尽だったからでしょう。国民からもジャンヌダルクの名誉を覆す復権運動が起こります。

 

1920年、ジャンヌダルクはローマ教皇(カトリック総本山 バチカン)から正式に聖人として認められました。

 

<ジャンヌダルクについて>

(引用文)1429年3月、ロレーヌからシノンにやって来た一人の若い娘が王太子(シャルル)にお目にかかりたいと申し出た。その女は『たくましく、肌がやや栗色をし、背力衆にすぐれていたが、態度物腰はつつましく、女らしい声をしていた。』……非常に敬虔なジャンヌは、羊の番をしている間に、天の声を聞き、『大きな光明の中に』大天使聖ミカエルと聖女カテリナと聖女マルガレ-タが現われるのを見たが、それらはジャンヌに王太子に会いに行き、オルレアンを救うようにとすすめた。……彼女は結局、一番近くの衛戌部隊長ヴォクルールから、男の鎧甲で身を固めてから、シヤルルのいるシノンに連れて行ってもらえることになった。……彼女は、第一に、王太子にその出生に対する自信を取り戻させようと思った。彼女にそれができるというのは、彼自身極めて信心ふかく、天から降った声を恐らく信ずるだろうから。第二にはオルレアンを解放しようと思った。というのはこの象徴的な勝利はフランス国民に信念を与えるだろうから。第三には、王太子をランス(大寺院)で祝聖させたいと思った。というのは聖アンプール(ランスにある聖油瓶で国王の抹油礼に用う)の聖油がすべての信者の眼に、権力の正統性を確証するだろうから。

<アンドレ=モロワ『フランス史』上 新潮文庫>より引用

 

 

映画の作品自体の評価は置いておくとして、字も書けないし読めない(当時の教育では仕方がなかった)小さな少女が神の啓示で国を動かしたということが本当なのか、夢物語なのか、スピリチュアル的な観点からも非常に興味を持ちました。

 

また、現代においても多くの課題に気づかせてくれる人物という意味では、ジャンヌダルクは今も人々の中に生き続けていると感じました。

 

フランスという国は労働組合が強いことで知られ、ストライキが頻繁にある国です。

私が滞在中もデモ隊がゴミに火をつけて、大騒ぎになっていました(日本のニュースでもその様子が流れましたね)。幸い、巻き込まれずにすみましたがストが頻繁にあるはこのフランスという国がこうして個人個人が声を上げ、実際に行動することで国を変えてきた歴史があるからだそうです。

(パリ市内。ジャンヌダルクの像がピラミッド広場のところにありました。)

ジャンヌダルクは大天使ミカエルのお告げによって、行動を起こしたとされますが、映画『ジャンヌダルク』の中でそのお告げをした人物(ミカエル、聖人とされる存在)から「私があなたにそれをやれと指示したのか?」とむしろ責められるシーンがあります。(捕虜として捕まったあと)

そして、その聖なる存在に

 

「あなたが自分で決めて、それをやったのだ」

 

とはっきりと言われます。

 

私自身、幼少期よりスピリチュアルな世界に関わっていますが、この台詞は非常に刺さるものがあります。

 

正直、痛いところをついてくるな。という、人によってはなんとも耳の痛いフレーズでもあるでしょう。

 

人間は何か自分に不都合なことがあれば、誰かのせいにしたがる生き物です。「私のせいではない」と。

 

例えば、人が何かをやろうとして悩んでいたとします。

 

自分には「天使に見えた」から「GOサインだ」と思ってやってみたら失敗した。ああ、私は「天使に見放されているんだ」と思うか、「ああ、私が今この失敗を経験することが将来役に立つから、あえてこういう経験をさせられたんだ」と思うかは人によります。

 

ちょっと話が逸れますが、仏教用語に「色即是空」という言葉があります。

 

これは仏教においての教えのひとつです。

 

この世の中に色はない、つまり、色をつけて見ているのはほかならぬあなた自身ですよ、という教えです。

 

作品や史実を通して考えた時に、「ジャンヌダルクは神を(天使を)見たかったから見た」、ただそれだけのことだったのではないかとも受け取れるのです。

 

スピリチュアルな世界では「視える」「視えない」は人によります。ただ、証拠を示すことが難しいだけに、怪しいものとして取り上げらることもしばしばです。それを利用して誰かを騙したりすれば、神聖な世界にもメスが入り、ダークなイメージもつきまといます。

 

目に見えないもの=怪しいから信じない

 

そういう人もたくさんいます。

 

一方で

 

すべての人がそう信じるならば、例えば、誰も初詣には行かないでしょう。しかし、毎年多くの人がお正月に神社に参拝に行きます。

 

目に見えないものを妄信するのは危険なことではあります。その一方で「それ」を大切にすることで守られている秩序もあります。

 

「お天道様が見ている」

 

という言葉があります。ただの太陽に目なんかありません。燃え盛る天体はしゃべりもしません。褒めてもくれなければ、叱ってもくれません。

 

それでも、私たちの住むこの日本には八百万の神々が住まい、共に生きていることを意識してきたからこそ美しい風景がそこかしこにあります。四季折々に行われる神事や山そのものを神と崇め大切に守ってきた聖域など、先祖代々、誰かの手によって、その清らかな思いとともに脈々と受け継がれてきています。

 

日本人特有の「おもてなし」精神もそういう風土が生んだ産物で、「たしかにここにある、だけど決して見えないもの」の一つなのではないでしょうか。

 

今回、大天使ミカエルさんのお告げによって建てられたモンサンミシェル、ルーアンを訪れ、旅をするうちに私はいつのまにか自分が住む日本という国の神様について考えていました。

人によって、国によって信仰するものは違います。

しかし、最終的には自分自身が何を見て、何を感じて、何を信じるのかによって人生は変わっていくということにおいては人類共通です。

 

ルーアンの街、細い路地を何度が曲がったところに近代的な建物があり、それがジャンヌダルク教会でした。

私が訪れた時はちょうど地元の学生が校外学習かなにかで、先生たちに連れられてぞろぞろ教会に入るところでした。私もその列に混ざって入りました。

 

美しいステンドグラスが目に飛び込んできました。

これから何か始まりそうだったので、部外者の私は居づらくなり、すぐに建物の外にでました。出口に募金箱が置いてあり、その脇にポストカードが置いてありました。

お金を入れて、3枚、ポストカードをいただいてきました。

 

入る時は気づかなかったのですが、出口を出るとちょっとした広場になっていて、急にそわそわしてきました。大きな石がゴロゴロと置いてあり、落ち着かない場所でそこのスポットだけ灰色の世界でした。冷たい風が吹いてきて、悲しい気持ちになりました。

 

あとから知ったのですが、ジャンヌダルク教会が彼女が処刑された場所だと思っていたのですが、実際はその広場でした。

(ここがジャンヌダルクが火あぶりの刑に処せられた場所。ヴィエ・マルシェ広場。)

私が見た景色は、先ほど書いたとおりですが、あとで写真を見たらもっと緑があったので、その一瞬に共鳴したことで視えた別の景色だったのかもしれません。

 

ずいぶん長く書いてしまいましたが、彼女の功績は間違いなくフランスという国を自由の国に導きましたし、今もフランス国民の誇りとして称えられていることには変わりありません。

帰り道、街角で桜が咲いていました。

桜は日本でしか見られないと思っていたのでびっくりしました。それに、ちょうど桜が満開の頃にフランスに来てしまったので今年はもう見られないとあきらめていたので嬉しかったです。

ジャンヌダルク教会から歩いて5分くらいのところにモネの描いたルーアン大聖堂があります。

(ルーアンの大聖堂。入り口。)

石畳にチョークで絵を描く若者がいました。大胆に、そしてちゃんとルーアン大聖堂の絵で上手でした。

世界で4番目に高い建築物だというそれを見上げると、ちょうど鐘が鳴り響きました。

 

午後のレモン色の光の中で、優しい音色が街に響いて幸せでした。

ジャンヌダルクもこの鐘の音を聞いたかもしれないと思うと少しほっとしました。

あまりにも波乱に満ちた短い生涯。それが閉じられるその日にもこの鐘が彼女の耳に届いていたならば、彼女はきっと運命を誇らしく受け入れて心安らかに天に召されたはずだと思いました。

(ルーアン大聖堂の内部の様子。代表的なゴシック建築です。ゴシック建築の特徴はそれまでのロマネスク建築と違って壁を取り払うことで天上が高く、窓を大きくとれるため、光をたくさん取り込めるようになりました。)

ルーアン大聖堂は1145年に建設が開始され、大聖堂のすべてが完成したのは、1544年になります。

当時の高さは151メートルあり、世界で最も高い建物でした。

(こちらのステンドグラスも美しいです)

最後までお読みくださいまして、どうもありがとうございました。

(次回、フランス パリ、「奇跡のメダイユ教会」への旅の様子です。番外編となります。)

 

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