会えばすぐにわかる
何を考えていたのか
ごめんねも
ありがとうも
言わなくても五感が全てキャッチしてくれた
フル動員して
感じる
あなたの愛、温もり
時代は変わって
ルールチェンジした
会えない時間が増えて
触れ合うことも少なくなった
ウィルスなんて
昔からいて
うまく共存できていると
人間は勝手に思っていたのかもしれない
ウィルス達の突然の反撃に
なすすべもない
こんな時代に
何をどうして
愛を確かめ合えばいいというのだろう
飲み過ぎて
吐いた暴言さえも
次の日に
抱きしめ合って
泣くこともできない今
ひとつの言葉から
想像力と経験値に委ねまくって
ありとあらゆる過去の引き出しの中をまさぐって
今の言葉は
どういう意味なんだろうとか
私の解釈は合っているのだろうかとか
どんな顔して
この言葉を送ってきたのだろうとか
出口のない迷路のトンネルを彷徨い続ける
物理的距離は
心の距離感に比例しないはずなのに
不安がよぎるのは
人間のサガなのだろう
こんなに文明が発達したのに
こうして今
SNSやらを駆使して
平安時代に
恋人同士が和歌を送り合うような
文化が再び来るとは思わなかった
歌の上手い人は
いいと思う
きっと
心に刺さる言葉を送ることができる
歌の下手な人は
伝わらないもどかしさと
会いたいけど会えない葛藤に
苦しんでいるかもしれない
経済市場のみならず
恋愛市場においても
完全にルールチェンジしてしまったこの世の中で
磨きあげることは
おそらく
目の前に見える現実ではなく
目に見えない相手の世界を
心の目で見ることしかないのかもしれない
「大事なことは目に見えない」と
星の王子様は言ったけれど
大事なことが見えるように
相手の言語を使って
相手の気持ちになって
文字を打つことから始めないといけない
もはや筆の握り方など知らなくてよくて
指1本で
どうにもならないことを
どうにかしようとしていることに
潔く笑うしかないのだろうか
相手の文化は
自分の文化と違うかもしれない
それは
価値観という言葉で表現されるけれど
箸で食べるか
フォークで食べるかの
習慣の違いみたいなことで
どちらが正しいとか間違っているとかではない
ただ
自分の習慣に近いほうが
言葉を駆使する必要もなく
意図することが伝わるだろう
いつの時代も恋愛は楽ではないのだ
会えたら会えたで
鬱陶しくなる時期も来たりして
人間とは
なんと自分勝手な生き物なのだろう
それでも
誰かが恋しくて
1人の夜が長く感じるから
ひとつひとつ
星を数えるうちに
神話が誕生したのだろう
月明かりの中
自分の影の隣に
あの人の影をそっと置いて
同じ月を見ていればいいなと
ふと思う
伝わればいいなと
祈りながら
言葉を何度も読み返す
そんな彼氏彼女達が
どうか幸せでありますように
風のなか
軽やかに舞う言の葉が
どうか大切な人に届きますように
Written by エマ